レオン師匠作 『うさぎ美味しい、かの山』

“たぁちゃん”が野山を駆け回ってた昭和30年代に僕は生れた。
幼少の頃の住まいと言えば、ブリキのトタンにコールタールを塗っただけの屋根と壁。
お世辞にも豊かとは言えない生活で、時折、親父が仕事帰りに弁当箱に入れて帰る“ショウリョウバッタ”など、おやつとしては、御馳走の部類だった。
内臓を指で押し出し、羽を千切って七輪で焼いて食うと、口に海老のような香ばしさが広がった(笑)
同級生にも、この本に書かれているような生活を体験した奴は、まず居ないけれど。
そんな少年時代を過ごした僕は、自身が文中の“たぁちゃん”になるのに時間は掛からなかった。
ゲン爺の“人となり”に涙を拭いながら、読了。
たぁちゃんの御両親の気遣いあったればこそ、ゲン爺の思いやりもあったに違いない。
古き良き時代、まさにそうだったと思う。
自然に慣れ親しんできた人は、想い出を辿りながら。
そうでない人は風景や情景を思い浮かべながら、是非読んでみて下さいな。
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